ようこそ日本義務教育学会へ

 日本義務教育学会は、2017(平成29)年10月に設立されました。小中一貫教育、義務教育学校、義務教育をめぐる諸課題について研究を深め、わが国の教育の質を高めることをめざして発足した学会です。学会の設立趣意書には、義務教育の学びや教育行政の支援について、未来志向型の研究を専門的・具体的に進め、我が国の教育の質を高めていくことに貢献するとあります。

学会の設立にあたり、小中一貫教育への学校や自治体の取組、義務教育学校の設立が大きな契機となっています。小中一貫教育をめぐる課題の解決をめざし、学校現場や大学、研究機関、行政の関係者が一体となって取り組み、小中一貫教育を真摯に推進する自治体や学校を支え、その広がりをより確かなものにしていくことに本学会のめざすところがあります。

もとより、それら取り組みの基盤となるのが義務教育に関する研究であります。亀井浩明初代会長は、「義務教育は、全ての人間の生涯にわたる学習の基盤となるものであり、極めて重要な課題である。その理念については、組織として慎重に研究すべきである。」(本学会紀要創刊号)と述べています。本学会の名称も「日本義務教育学会」としたことも、義務教育の研究を基盤にする趣旨をふまえたものであります。

私は、2022(令和3)年11月、小松郁夫前会長より引き継ぎました。新型コロナ感染症が収まりかけてはいましたが、発足まもない本学会にとって組織運営に困難をきたす状態からなかなか抜け出せない状況にありました。まずは、理事の皆様とともに、学会の基盤を固め、組織運営を軌道にのせていくというのが、取り組むべき課題でありました。

その上で、世代間のバトンタッチを進めることが、私が引き継ぐべき課題と受け止めております。若い世代が、今の時代、さらに、次の時代において、この分野の担い手となり全国をリードし、さらに世界とつながる。そのための基盤づくりとして、まずは全国を6つの地域ブロックによって組織し、拠点づくりをはかり、会員相互のつながり生み出すことをめざすことにしました。

本学会は、大学や研究機関などに勤務し研究と教育に携わる会員、小学校や中学校など教育現場において教育実践に携わる会員、そして、教育行政に携わる会員などによって成り立っています。しかも、比較的バランスが取れています。この持ち味をどう生かしていていくかが、学会のこれからにかかっています。自らの枠を越えた関係づくりを通して新たな知見を生み出す。わが学会のめざすところの一つの姿でもあります。さらにいうならば、志を同じくする方々の参加によって、この輪がさらに広がることを願っています。

もとより、本学会の充実と発展は、一人一人の会員にかかっていることは間違いありません。皆様とともに歩み、本学会の発展のために、我が国の義務教育の充実のために、尽力して参りたいと思っております。

日本義務教育学会
会長 天笠 茂